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羊蹄山 登山ガイド|何を持って、どう備える?準備・装備編【第2回】
ニセコHUB編集部 · 2026/06/28

前回は、羊蹄山の4つの登山口から「どのコースを選ぶか」をお話ししました。コースが決まったら、次は準備です。
羊蹄山は標高1,898メートル。数字だけ見ると、そこまで高くは感じないかもしれません。でも独立峰ゆえの強風と、登山口からの大きな標高差で、その環境は本州の3,000メートル級の山に匹敵するといわれます。
「日帰りで登れる、けれど甘くない山」。それが羊蹄山です。この第2回では、安心して登り、無事に帰ってくるための準備と装備を、ていねいにまとめます。
- 水場はゼロ。飲み水は2リットル以上を背負う
- レインウェアは「持てれば」ではなく「必ず持つ」
- 日帰りでも、装備と体力の準備が欠かせない
まず、体力の話|「歩ききる力」が必要です
羊蹄山の日帰りは、歩行時間でおよそ8〜9時間、距離は約14キロ、登る標高差は約1,500〜1,600メートルにもなります。
これは、登山の難易度でいえば「上級」に分類される行程です。とくに中盤から上は、急なジグザグの登りが延々と続き、想像以上に体力を削られます。
いきなり挑むのではなく、ふだんから歩く習慣をつけておくと安心です。長めのウォーキングや、近くの低い山で足慣らしをしてから臨むと、当日がぐっと楽になります。
水と行動食|水場はゼロ。2リットル以上を
くりかえしになりますが、羊蹄山の登山道には、水を補給できる場所がありません。
必要な水の量は、夏の日帰りでおよそ2.5〜3リットルが目安。暑い日や、汗をかきやすい人は、さらに多めに。「重いな」と感じても、足りなくなるよりずっと安心です。
行動食も忘れずに。おにぎり、パン、ナッツ、チョコレート、ゼリー飲料など、歩きながら少しずつ食べられるものを。汗で失われる塩分を補う、塩あめや塩タブレットもおすすめです。
バテないコツ|こまめな休憩と補給
長い登りで大切なのは、一気にがんばらず、ペースを保つこと。
のどがかわく前に、ひと口ずつ水を飲む。お腹がすく前に、行動食を少しずつ口にする。30分から1時間にいちど、短い休憩をはさむ。この「こまめさ」が、最後まで歩ききる体力を残してくれます。立ち止まったら、上着を一枚はおって、体を冷やさないようにするのもポイントです。
服装|レイヤリングと、レインウェアは必ず
羊蹄の山頂は、ふもとより10℃ほど低いことも。さらに強い風が吹けば、体感温度はもっと下がります。夏でも、寒さへの備えは欠かせません。
服装の基本は「重ね着(レイヤリング)」です。
- 肌に着るのは、汗を逃がす化繊やウールの下着(綿はぬれると冷えるのでNG)
- その上に、動きやすい中間着
- いちばん外に、レインウェア(雨具)の上下
レインウェアは、雨のためだけのものではありません。風を防ぎ、体温を守る防寒着としても、いちばん頼りになります。「使わなければそれでいい」もの。必ずザックに入れてください。帽子・手袋・ニット帽も、夏でも一式そろえておくと安心です。
足元|いちばん大事なのは、靴
意外と見落とされがちですが、登山でいちばん大事な装備は「靴」かもしれません。羊蹄山は、岩や木の根、ぬかるみも多い長い道のり。底の薄いスニーカーでは、足を痛めたり、すべって転んだりしやすくなります。
足首まで支えてくれる、登山靴(トレッキングシューズ)を選びましょう。買ったばかりの靴をいきなり履くと、靴ずれのもと。本番の前に、何度か履いて足になじませておくと安心です。靴下も、厚手の登山用にすると、まめ(靴ずれ)ができにくくなります。
持ち物リスト|日帰りでも、これだけは
日帰りでも、用意したいものをまとめます。
✅ 30リットル前後のザック/レインウェア上下/防寒の中間着/飲み水2.5〜3リットル/行動食・塩分/ヘッドランプ(予備電池も)/地図とコンパス、または登山用GPSアプリ/モバイルバッテリー/救急セット・常備薬/日焼け止め・サングラス・帽子/虫よけ/携帯トイレ/熊鈴・熊スプレー/健康保険証・身分証
スマホの地図アプリは便利ですが、電池切れや電波の不安もあります。紙の地図とコンパス、または事前にダウンロードしたGPSアプリを併用すると安心です。
トイレ事情|登山口と、避難小屋だけ
羊蹄山でトイレがあるのは、登山口(倶知安・真狩)と、9合目付近の避難小屋だけです。
登りはじめてから山頂までのあいだ、ふつうのトイレはありません。そこで持っておきたいのが、携帯トイレ。いざというときのために、ひとつザックに入れておくと安心です。避難小屋のバイオトイレは、紙を流せないので、使った紙は持ち帰りましょう。
当日の時間配分|早く出て、早く帰る
往復8〜10時間の山では、時間の使い方が安全を左右します。
基本は「早出・早着」。夜明けとともに登りはじめ、日没のずっと前に下山する計画にします。「お昼までに山頂に着いていなければ引き返す」など、自分なりの撤退ラインを決めておくと、無理をせずにすみます。
山頂付近の外輪山は、岩場で道もわかりにくい場所があります。霧が出たり、風が強かったりするときは、引き返す勇気も大切。山は逃げません。また来ればいいのです。
山の天気を読む|ふもとと山頂は、別物
羊蹄山は独立峰。さえぎる山がないぶん、天気は変わりやすく、ふもとが青空でも、山頂は雲とガスの中、ということがよくあります。
出発前は、ふつうの天気予報に加えて、山の天気に特化した予報サイトも見ておきましょう。とくにチェックしたいのが「風」です。風が強い日は、森林限界から上で、まっすぐ立っているのも難しいほどになることがあります。また、午後は天気がくずれやすいもの。午前のうちに山頂を踏み、下山にかかる——そんな計画が、いちばん安心です。
下りこそ、慎重に|ひざとペースを守る
登りより、じつは下りのほうが事故は起きやすいもの。疲れがたまり、足元への注意も、つい散漫になりがちだからです。
下りは、歩幅を小さく、ゆっくりと。ひざへの負担が気になる人は、トレッキングポール(ストック)を使うと、ぐっと楽になります。最後まで気をぬかず、一歩ずつ。無事に登山口へ戻るところまでが、羊蹄登山です。
登山届と、安全のもうひと手間
最後に、安全のためのひと手間を。
登山口には入山届のポストがあります。警察に登山届(登山計画書)を出す方法もあります。家族や友人に「どのコースを、いつ登って、いつ下りる予定か」を伝えておくだけでも、もしものときの助けになります。
出発前には、必ず天気を確認。荒れる予報なら、思いきって延期を。できれば単独は避け、経験者と一緒に。そして、山岳保険(救助費用をカバーする保険)に入っておくと、より安心して楽しめます。
ここまで準備できれば、もう大丈夫。次回はいよいよ、登りの一日と、山頂・お鉢めぐりの楽しみ方をお届けします。
コース選びをまだ読んでいない方は、こちらからどうぞ。
準備は、不安を安心に変える時間です。万全にととのえて、羊蹄山の頂へ。
— ニセコ Hub 編集部