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倶知安で起業する。会社設立・ビザ・お金、はじめの一歩ガイド
ニセコHUB編集部 · 2026/06/06

ニセコ・倶知安エリアは、世界中から人が集まるリゾートの町。だからこそ、ここで起業を考える人も少なくありません。
この記事では、倶知安で起業するときの基本を、はじめての方にもわかりやすく整理します。個人事業と会社設立のちがい、お金(資金・融資・補助金)、業種ごとの許認可、そして外国籍の方に欠かせない在留資格まで。日本人の方にも、海外から来た方にも役立つ内容です。まずは全体像から見ていきましょう。
1. 倶知安で起業するということ — 機会と現実
世界が集まる町のビジネスチャンス
倶知安・ニセコは、いま日本でもっとも「世界が近い」町のひとつです。
冬になると、オーストラリアやアジア、ヨーロッパなど世界各地から、パウダースノーを求めて多くの人が訪れます。英語が日常的に使われ、良いお店やサービスには国籍を問わずお客さんが集まります。小さなお店でも、世界中の人に届けられる——これは、ほかの地方の町にはなかなかない環境です。
近年は土地や建物の価格も上がり続けており、それだけこのエリアに人とお金、そしてビジネスの機会が集まっていることのあらわれともいえます。
知っておきたい現実(季節性・コスト・人手)
一方で、倶知安での起業には、知っておきたい現実もあります。
もっとも大きいのが、季節の波です。このエリアの商売は、冬(おおよそ12〜3月)に売上が大きく伸びる一方、夏(グリーンシーズン)は客足が落ち着きます。とくに観光客向けの飲食や小売は、雪のシーズンにくらべて売上が下がりやすく、それでも家賃や光熱費は一年を通してかかります。「冬に稼ぎ、夏を乗り切る」という資金の設計が欠かせません。
コスト面も高めです。テナントの家賃や人件費は上昇傾向にあり、住むための家賃も、2LDKで月25万円前後と都市部並みになることがあります(相場は変動します)。
さらに、人手と、その住まいの確保も課題です。働き手は世界中から集まりますが、スタッフが住む家は不足しがち。採用と住居の確保を、セットで考える必要があります。
この記事の歩き方(日本人も、外国人も)
それでも、順番に準備すれば、倶知安での起業は十分に実現できます。
この記事では、こんな流れで進めていきます。
- 個人事業にするか、会社をつくるか
- 外国籍の方の在留資格(経営・管理ビザ)
- お金:開業資金・融資・補助金
- 業種ごとの許認可(飲食・宿泊・小売など)
- どこに相談すればよいか
日本人の方も、海外から来た方も、起業はできます。外国籍の方は「在留資格」というもう一段の準備が必要になりますが、ひとつずつ見ていけば心配はいりません。次の章から、順に進めていきましょう。
2. まず決める:個人事業か、会社設立か
倶知安で起業するとき、最初に決めたいのが「個人事業ではじめるか、会社(法人)をつくるか」です。どちらにも長所と短所があります。
個人事業のメリット・デメリット
いちばん手軽なのは、個人事業です。
税務署に「開業届」を出すだけで始められ、費用はほとんどかかりません。会計もシンプルです。「まずは小さく試したい」「一人で切り盛りする」といった場合は、個人事業から入る選択肢が向いています。
一方で、社会的な信用(取引・融資・物件の契約など)は、法人にくらべると弱くなりがちです。利益が大きくなると、税金の面では法人のほうが有利になることもあります。
会社(法人)にするメリット・デメリット
ある程度の規模をめざすなら、会社の設立が選択肢になります。
法人のいちばんのメリットは、信用力です。テナント契約や融資、取引先とのやりとりが、法人のほうがスムーズに進みやすくなります。利益が増えたときの税金面でも有利になりやすく、事業を「続けていく」体制が整います。
会社には、主に2つの形があります。
- 合同会社(LLC):設立費用が安く、手続きもシンプル。決算公告の義務もありません。小さく始めるのに向いています。
- 株式会社:設立費用は高めですが、信用力や資金調達のしやすさで勝ります。
費用の目安は、合同会社で6〜10万円ほど、株式会社で18〜24万円ほど(電子定款か紙の定款かで変わります)。資本金は1円からでも設立できますが、実際は事業に見合った額にしておくと、信用の面でも安心です。
なお、外国籍の方が「経営・管理ビザ」で起業する場合は、会社を設立するケースが多くなります(詳しくは次の章で)。
会社をつくる大まかな流れ
会社設立は、流れを知っておけば、それほど複雑ではありません。おおまかには、次の順番で進みます。
- 会社の基本(社名・住所・資本金・事業目的)を決める
- 定款をつくる(株式会社は公証役場での「認証」が必要。合同会社は不要)
- 資本金を払い込む
- 法務局で登記する(ここで会社が成立します)
- 税務署・自治体・年金事務所などへ届出をする
書類づくりや登記は自分でもできますが、司法書士や税理士に依頼すると、手間が大きく減ります。本業の準備に集中したい場合は、専門家に任せるのも有力な選択です。
設立費用や手続きは、制度改正で変わることがあります。 最新の費用・必要書類は、法務局や専門家(司法書士・税理士)にご確認ください。
3. 外国籍の方へ:在留資格(経営・管理ビザ)
外国籍の方が日本でビジネスを経営するには、それにふさわしい在留資格が必要です。観光やワーキングホリデーなどの資格では、原則として事業の経営はできません。
起業と在留資格の関係
不動産や会社を「所有」すること自体に在留資格は要りません。しかし、日本に住んで「事業を経営する」となると、多くの場合、「経営・管理」という在留資格(いわゆる経営・管理ビザ)が必要になります。
このビザは2025年10月に要件が大きく見直され、ハードルが上がりました。これから取得をめざす方は、最新の基準を前提に準備する必要があります。
経営・管理ビザの主な要件(2025年10月改正後)
2025年10月16日からの新しい基準では、主に次の条件を満たす必要があります。
- 資本金など 3,000万円以上(従来の500万円から大幅に引き上げ)
- 常勤職員を1名以上雇用(日本人、または永住者・日本人の配偶者等・定住者などの身分系の在留資格を持つ人)
- 申請者または常勤職員のいずれかに、相当程度の日本語能力があること
- 独立した事業所を確保すること(自宅との兼用は原則認められません)
- 専門家の確認を受けた事業計画書
従来は「資本金500万円 または 常勤職員2名」のいずれかでしたが、改正後は「資本金3,000万円以上 かつ 常勤職員1名以上」という、両方を満たす厳しい要件になりました。
なお、改正前から在留している方には、2028年10月16日までの経過措置が設けられています。ただし、この期間の更新が自動的に認められるわけではありません。
在留資格の要件は変更されることがあり、個別の事情によって判断も変わります。 最新の情報は出入国在留管理庁や、入管手続きにくわしい行政書士にご確認ください。
すでに永住・配偶者ビザなどの場合
一方、すでに「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」などの在留資格を持っている方は、就労や事業の内容にほとんど制限がありません。
この場合、経営・管理ビザを新たに取らなくても、日本人と同じように起業できます。倶知安で長く暮らしてきた方や、ご家族と日本で暮らしている方は、まず自分の在留資格でどこまでできるかを確認するとよいでしょう。
いずれの場合も、在留資格はビジネスの土台になる大切な部分です。早めに、入管にくわしい行政書士へ相談することをおすすめします。
4. お金:開業資金・融資・補助金
起業でいちばん心配なのが、お金です。倶知安はコストが高めの地域でもあるため、資金計画はとくに大切になります。
開業資金の考え方(目安)
開業資金は、大きく「初期費用」と「運転資金」に分けて考えます。
- 初期費用:物件の保証金・内装・設備・備品など、開業時にまとまってかかるお金。
- 運転資金:家賃・人件費・仕入れなど、毎月かかるお金。
倶知安では家賃や工事費が高くなりやすく、さらに夏は売上が落ちます。そのため、開業後しばらく売上が少なくても回せるだけの運転資金(数か月分)を、最初から見込んでおくと安心です。自己資金だけで足りない部分は、融資や補助金で補うのが一般的です。
創業融資(日本政策金融公庫など)
創業時によく使われるのが、政府系の金融機関である日本政策金融公庫の創業融資です。
現在は新規開業・スタートアップ支援資金が中心で、創業からおおむね7年以内の事業者が対象。原則として無担保・無保証で利用でき、融資限度額は用途に応じて設定されています。
制度上の自己資金要件は撤廃されましたが、実務上は、自己資金がまったくない・極端に少ないと審査で不利になりやすい点に注意が必要です。説得力のある事業計画書が、審査の鍵になります。
民間の銀行や信用金庫の融資、信用保証協会の保証付き融資なども選択肢です。なお、外国籍の方は、在留資格や日本での実績によって、口座開設や融資の条件が変わることがあります。
倶知安・北海道の創業支援と補助金
地元の支援制度も、忘れずにチェックしたいところです。
倶知安町には、創業を後押しする補助金や、商店街の空き店舗の活用を支援する制度(家賃の一部補助など)が用意されています。また、国の制度(産業競争力強化法)にもとづく「特定創業支援等事業」の支援を受けると、会社設立時の登録免許税の軽減や、信用保証の特例などのメリットを受けられる場合があります。
北海道としても、起業を支援する補助金(地域課題の解決をめざす起業向けなど)があります。
補助金や支援制度は、年度ごとに内容や募集期間、金額が変わります。 最新の情報は、倶知安町の窓口や商工会議所、北海道(起業支援金)のサイトでご確認ください。
5. 業種別の許認可
業種によっては、開業前に「許可」や「届出」が必要です。とくに食べ物や宿泊にかかわる事業は、ルールがしっかり決まっています。代表的なものを見ていきましょう。
飲食・カフェ(営業許可と食品衛生責任者)
レストランやカフェ、バーなど飲食店を開くには、保健所の「飲食店営業許可」が必要です。
あわせて、お店ごとに「食品衛生責任者」を置くことが求められます。これは講習を受ければ取得できる資格です。
また、厨房には設備の基準があります。シンクの数や手洗い設備、換気、冷蔵庫の温度管理など、保健所が定める条件を満たす必要があります。内装工事を始める前に、図面の段階で保健所に相談しておくと、あとからのやり直しを防げます。
宿泊・民泊(旅館業法と住宅宿泊事業)
ゲストハウスや宿を始める場合は、宿泊にかかわる法律への対応が必要です。大きく2つの道があります。
- 住宅宿泊事業(いわゆる民泊):自治体への「届出」で始められますが、人を泊められるのは年間180日までという上限があります。
- 旅館業(簡易宿所営業など):保健所の「許可」が必要で、構造・設備の基準もありますが、1年を通して営業できます。
「年間180日を超えて、本格的に宿をやりたい」のであれば、旅館業の許可が必要になります。雪のシーズンに集中して稼ぐニセコでは、営業日数や繁忙期の見込みから、どちらが向いているかを考えるとよいでしょう。くわしくは観光庁の民泊制度ポータルや、厚生労働省の民泊・旅館業に関するQ&Aが参考になります。
小売・サービス(必要に応じた届出)
物販やサービス業の多くは、特別な許可がなくても始められます。
ただし、業種によっては許認可が必要です。たとえば、お酒の販売には酒類販売業の免許、中古品の売買には古物商の許可が要ります。レンタル、ツアー、整体など、扱う内容によっても届出が必要な場合があります。
自分の事業に許認可が要るかどうかは、開業準備の早い段階で確認しておくと安心です。
許認可の要否や基準は、事業の内容や場所によって異なります。 具体的には、管轄の保健所や自治体の窓口、専門家(行政書士など)にご確認ください。
6. はじめの一歩:どこに相談する?
ここまで見てきたように、起業には決めること・手続きがたくさんあります。でも、ひとりで抱え込む必要はありません。倶知安には、頼れる窓口があります。
公的な相談窓口(無料で使える)
まずは、無料で相談できる公的な窓口から。
- 倶知安町の担当窓口:創業支援や補助金、空き店舗の情報など、地元ならではの相談ができます。
- 商工会議所:事業計画づくりや経営のアドバイス、融資の相談に乗ってもらえます。
- よろず支援拠点(北海道):国が設けた、中小企業・創業者向けの無料相談所です。
これらは「特定創業支援等事業」とつながっていることも多く、支援を受けると、会社設立時の登録免許税が軽くなるなどのメリットにつながる場合があります。
専門家に頼る(行政書士・税理士・司法書士)
手続きの専門家に頼ると、準備がぐっとスムーズになります。
- 行政書士:許認可の申請や、外国籍の方の在留資格(経営・管理ビザ)の手続き。
- 税理士:税金や会計、資金計画、融資のサポート。
- 司法書士:会社の設立登記。
とくに、外国籍の方の在留資格は専門性が高い分野です。入管手続きにくわしい行政書士に、早めに相談しておくと安心です。
倶知安で続けるためのコツ(人・住まい・季節)
最後に、開業したあと「続けていく」ために、このエリアならではのポイントを。
- 季節の波に備える:冬の繁忙期に得た利益を、客足が落ちる夏に向けて確保しておく。夏はランチ営業や地元のお客さん、イベント出店など、観光に頼りすぎない売上づくりが助けになります。
- 人と住まいをセットで考える:スタッフを採用するときは、その住まいまで見通しておくと、人手不足の波を乗り切りやすくなります。
- 多言語で迎える:日本語・英語に加え、メニューや案内を多言語にしておくと、世界中から来るお客さんに届きやすくなります。
スタッフ募集や、お店・スタッフの住まい探しは、ニセコ Hub からも始められます。
7. よくある質問(FAQ)
Q. 外国人でも、倶知安で会社をつくれますか? A. 会社の設立や不動産の所有自体は、在留資格を問わずできます。ただし、日本に住んで事業を「経営」するには、多くの場合「経営・管理ビザ」が必要です。2025年10月から要件が厳しくなり、資本金3,000万円以上・常勤職員1名以上などが求められます。すでに永住者や日本人の配偶者等の在留資格があれば、制限は少なくなります。早めに行政書士へご相談ください。
Q. 個人事業と法人、どちらがいいですか? A. まず小さく試すなら、開業届だけで始められる個人事業が手軽です。信用力や税金、事業の規模を見据えるなら法人が向いています。法人のなかでは、合同会社が費用を抑えやすく、株式会社は信用力や資金調達で勝ります。
Q. 倶知安は、冬しか稼げないのですか? A. 冬が繁忙期なのは事実です。夏(グリーンシーズン)は観光客が減り、売上が落ちやすくなります。そのため、冬の利益を夏に向けて確保しつつ、夏はランチ営業や地元のお客さん、イベント出店などで売上をつくる工夫が大切です。
Q. 日本語ができなくても起業できますか? A. 起業そのものは可能ですが、手続きや契約、行政とのやりとりで日本語が必要な場面は多くあります。専門家や多言語サポートを活用すると安心です。なお、経営・管理ビザの新しい要件では、申請者または常勤職員に相当程度の日本語能力が求められます。
Q. 開業までどのくらいかかりますか? A. 業種や許認可によって変わります。会社設立だけなら数週間ほど、飲食店の営業許可や物件・内装まで含めると、数か月を見ておくと安心です。早めの準備と相談が、スムーズなスタートの鍵になります。
倶知安での起業は、決して簡単ではありません。それでも、手順をひとつずつ踏み、必要なところは専門家や窓口を頼れば、世界とつながるこの町で、自分のビジネスを形にすることができます。
まずは、できるところから。あなたの挑戦を、ニセコ Hub は応援しています。
— ニセコ Hub 編集部